ストレス-4.プライベートストレスの特徴と種類
ここは、Fantasy学部 教室
-連載テーマ「ストレス」の目次-
1.はじめに
2.ストレスの意味と、精神的ストレスの種類(パブリック、プライベート)
3.パブリックストレスの特徴とその解消方法
4.プライベートストレスの特徴と種類
5.プライベートストレス(孤独系)
6.プライベートストレス(迎合系)
7.プライベートストレス(自己承認系)
大人の女性向けの連載テーマ「ストレス」の第4回になります。
今回の記事では、もう1種類の精神的ストレスである「プライベートストレス」の特徴と種類について解説していきたいと思います。
プライベートストレスが溜まる理由
前回の記事では、
「人は、不可避的に溜まってしまうパブリックストレスを、プライベートにおける義務的でない人間関係(ex.恋人、親友、実質的な友人、ママ友?職場の同僚?)での関わりによって解消していく」
ということを書きました。
ここで、プライベートの「義務的でない人間関係」では、付き合う相手を、自身の感情や主観によって自由に選んだり決めたりすることができるものです。
よって、「プライベートシーンで、相手に対し“意に反した我慢”をし続けてストレスを溜めてしまう」なんてことは、あまり無いはずですよね。相手のことが嫌になったら、さっさと関係を断ってしまえばよいのですから。
しかし、プライベートにおいては、
仲良くしたいと思っている相手と「思い通りに仲良くなれていない」という現実を感じながら、「思い通りに仲良くなりたい」という理想を描いている
というような場合があります。
このような場合には、その相手と理想の関係になるまでの間、「理想と現実との差分量に比例して“意に反した我慢”をする」ということを自ら率先して選択しようとします。
このような我慢をし続ける結果として生じるもの~これがプライベートストレスの正体なのです。
プライベートストレスの特徴
プライベートストレスは、義務的でない人間関係において生じるものであるため、可避性、潜在性、非制御性という、既述したパブリックストレスとは真逆の特徴を備えています。
可避性(=溜まるのを避けられる)
プライベートにおいて関わる人間関係は、義務的でないものであり、自身の感情や主観で、相手を自由に選んだり、相手との関係の開始、継続、終了を自由に決めたりすることができるものです。
例えば、プライベートストレスを感じている現在の友達1人について、その関係を断ち切る前に、プライベートストレスを感じない新たな友達1人との関係をスタートさせておけば、・・・現在の友達1人との関係を遮断してプライベートストレスを溜めることを回避できます。
また、新たな友人の補充なしに、プライベートストレスを感じている相手全員を断ち切ってしまうことも、自分の意思だけですることができます。
このように、プライベートストレスは、可避性(=溜まるのを避けられる)という特徴を備えています。
潜在性(=溜まっているか否かの自覚が困難)
プライベートで付き合っている相手については、たとえ「自分の思い通りにならない」や「期待していたのに裏切られた」と思えるような事件が生じたとしても、直ちに「もう絶交」という決断はしないものです。
なぜなら、自分の意思で選んだ相手であるために、「相手が100%悪い」とは思いにくい(∵そう思うことは、自分の選択能力の無さを自認することになる)からです。
このため、「誤解かもしれない…」、「たまたま、相手の体調が悪かったからかも…」、「もしかして、その前に、私が、相手の気に入らないことしてしまっていたのかも…」等のように、一生懸命に、相手を救済するような好意的な解釈をしようとします。
こうした好意的な解釈は、「その相手との関係を断ち切りたくない。嫌われたくない。」と思っているほどに、自身の想像の中だけで終わってしまいがちであり、その事件の真相(相手の心理状態を含む)を相手との間でとことん確認し合おうとはしないものです。このような確認によって相手から「鬱陶しい」と思われることを恐れるからです。
この結果、その事件に対する相手の真意が不明なまま、「関係を断ち切りたくないので、今回の事件のことは忘れよう」というオチをつけ、相手が思い通りにならないことによって生じたストレスを、無理矢理に忘れようとしたり、無かったものとして封印しようとします。
それ故に、プライベートストレスは、既述したパブリックストレスとは異なり、溜まっているか否か、溜まっている量や重さについて、自覚することが困難なのです。
非制御性(=ダメージを自分の意思でコントロールできない)
プライベートストレスは、既述したパブリックストレスとは異なり、ストレスによるダメージを自分の意思でコントロール不能なストレスです。
即ち、プライベートの義務的な関係でない相手に期待するものは、「割に合う見返り」ではなく、「相手の自分に対する心や気持ち」です。
この「相手の自分に対する心や気持ち」は、相手の自由意思によって決まるものであり、相手とは別の人間である以上、自分の思い通りにはなるものではなく、かつ、自分の意思によって変えることができないものです。
もし、「相手の自分に対する心や気持ち」を自分の意思によって自分の思い通りに変えようとして、二人の間に、相手の自由意思に反するようなルールを作った場合には、その瞬間に、相手にとって、二人の関係は、義務的なものに変わったように映り、その後、このようなルールが多くなるにつれて、相手は、二人の関係を「パブリックの義務的な関係である」と評価してしまいます。
よって、相手から「あなたとは義務的な関係である」との評価をされたくないのであれば、
たとえ、現在の「相手の自分に対する心や気持ち」が、自分の思い通りのものではなくても、いつか自分の思い通りのものになってくれることを期待して、「相手の自分に対する心や気持ち」の変化を待つ
という待機が必要になります。
このような待機は、相手が自分にとってかけがえのない存在であると思うほどに、その期間が長くなるものであり、この期間が長くなるほどに、「相手の自分に対する心や気持ちが、なかなか思い通りにならない」と感じ、現実とのギャップが大きくなります。
つまり、待機の継続は「プライベートストレスの溜まる量を自ら率先して増加させている」ということを意味します。故に、「うつ等になってしまうから、これ以上、待機するのをやめておこう」という自制が働きにくいのです。
また、こうした待機の期間が長くなるほど、「相手の自分に対する心や気持ちが思い通りになる」という期待量が増加し、この期待のために費やす時間数も増加します。
よって、「いつまでたっても、相手の自分に対する心や気持ちが思い通りにならない」とあきらめて待機を止めた後においても、失われた期待量や待機に費やした時間数に比例して自分を責めてしまうため、それまでに抱えていたプライベートストレスを自らの意思でゼロリセットすることが難しくなります。この意味で、プライベートストレスは「その後にダメージが残りやすい」ものと言えます。
思い通りに仲良くなれない理由
ここから、少しだけ説明が難しくなりますが、どうぞ、ゆっくり読んでついてきてください。
「仲良くなった」のではなく、「嫌われていない」だけ
プライベートの人間関係において、「相手と思い通りに仲良くなれない」ということは、よくあることですよね。
もちろん、大人の女性の場合、男性よりもコミュニケーション力の平均値が高いので、初対面の相手とのファーストインプレッションを含め、出会って間もない段階では、「相手と仲良くなれている」という実感を抱く方が多いのでは…と想像します。
しかし、その後、時間の共有を重ねていくにつれて、「どうも、お互いの考え方がズレている」、「肝心なことがわかり合えない」、「かなり気を遣わないと、会話が成立しない」のように、しっくりいかない感じになってしまうことも多いのではないでしょうか。
これは、出会って間もない段階において「相手と仲良くなれている」と感じたのは、往々にして錯覚であることが多く、正確には「嫌われていない」と感じたに過ぎないからなのです。
真の理由は「お互いのプライベートストレスの種類の不一致」
では、出会って間もない段階では悪くない感じなのに、交流を重ねることにつれてしっくりいかない感じになってしまうのは、なぜでしょうか?
「相性が悪い」、「価値観がズレている」、「育ちが違う」・・・想像してみると、いろんな理由が並ぶと思います。
私たちスタッフは、これらの理由は、根は同じであり、
「相手と思い通りに仲良くなれないのは、お互いのプライベートストレスの種類が一致しないから」
であると考えています。
なぜなら、異なる人の間において、お互いの心の距離が近づくためには、
「ストレスの共感」
というイベントが不可欠です。
このストレスの共感は、
「自分がストレスに思っている事柄を、相手もストレスだと思っている」
ということが実現の前提となります。
逆に、
「自分がストレスに思っている事柄を、相手はストレスだと思っていない」
という場合には、この相手とのストレスの共感は不可能ですよね。
このように、プライベートの人間関係においては、既述したパブリックストレスの場合とは異なり、ストレスに思う事柄が人によって異なります。換言すれば、人が抱えるプライベートストレスには、複数の種類があるのです。
つまり、「ストレスに思う事柄が相手との間でズレてしまう」という状態は、「お互いのプライベートストレスの種類の不一致」によって引き起こされるのです。
プライベートストレスの種類
人が抱くプライベートストレスには、大きく分けると、孤独系、迎合系、自己承認系の3種類があります。
人が現在抱いているプライベートストレスは、通常、これらの3種類のうちのいずれかがメインとなります。
また、これらの3種類のうちのいずれがメインとなるかについては、その人のプライベートにおける対人経験の蓄積や環境の変化(注:年齢や加齢は無関係です)に応じて変化し得るものです。
具体的には、メインとなるプライベートストレスの種類は、人は生まれながらにして孤独系であり、その後の人生経験に応じて、一部の人は、迎合系や自己承認系に変わり、遅くとも生涯を終える直前までには再び孤独系に戻ります。
次回以降の記事では、孤独系、迎合系、自己承認系の各種類の特徴について、パブリックストレスとの関係性の相違を含めて、詳細に説明していきます。
緻密な内容の長文となり、少々読みづらいかと思います。予めご了承くださいませm(__)m
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