ストレス-3.パブリックストレスの特徴とその解消方法
ここは、Fantasy学部 教室
-連載テーマ「ストレス」の目次-
1.はじめに
2.ストレスの意味と、精神的ストレスの種類(パブリック、プライベート)
3.パブリックストレスの特徴とその解消方法
4.プライベートストレスの特徴と種類
5.プライベートストレス(孤独系)
6.プライベートストレス(迎合系)
7.プライベートストレス(自己承認系)
大人の女性向けの連載テーマ「ストレス」の第3回になります。
今回の記事では、2種類の精神的ストレスのうちの「パブリックストレス」について、その特徴と解消方法について解説していきたいと思います。
パブリックストレスの特徴
職場等の義務的な人間関係を伴う環境下で生じるパブリックストレスには、不可避性、顕在性、制御性という3つの特徴があります。
不可避性(=溜まるのを避けられない)
ビジネスや家庭、地域等の集団において、関わる人間関係は、集団から一方的に押し付けられた義務的なものであり、自身の感情や主観で選んだり決めたりすることができません(例:上司、親、姑、集団に属するその他の構成員)。
また、このような集団では、集団の目的達成を名目とした独自のルールが作られ、このルールに基づいて、構成員に対し、「自身の感情や主観に基づく表現や行動をしてはならない」という制約が課されます。
このように、自身の感情や主観が抑圧された環境下では、活動する人は、当然に、“意に反した精神的な我慢”を余儀なくされてしまいます。
加えて、このような環境下での義務的な人間関係においては、たとえ上述のような我慢をしたとしても、相手の本音は依然として見えにくいままであるため、相手との人間関係は思い通りのものになりにくくなります。
このため、相手とコミュニケーションや接近をした際にはもちろんのこと、相手の存在を思い出しただけでも、精神的なストレスが生じ易くなってしまうのです。
しかも、このような環境での義務的な人間関係は、「生活費を稼ぐために維持せざるを得ないもの」や「モラル的に逃れることができないもの」等の「やむを得ず、我慢して続けざるを得ない人間関係」になりやすく、かつ、一日の大半の時間が奪われがちなものです。
パブリックストレスは、このような不可避性(=溜まるのを避けられない)により、「日々の生活を続けるほどに、必然的に溜まっていき、かつ、重くなる」という特徴を備えています。
顕在性(=溜まっているか否かの自覚が容易)
パブリックストレスは、溜まっているか否か、溜まっている量や重さについて、自覚することが容易なストレスです。
なぜなら、自身が属している集団環境において、「人間関係が自分の思い通りにならない」、「期待していた相手に裏切られた」という場面は、日常茶飯事的に起こるものです。
こうしたことが起こる都度、「この環境に我慢し続けていることは、自身の本意ではない」ということを認識することができるからです。
また、人が溜めることのできるストレスの量には、当然に限界があるのですが・・・
パブリックストレスの場合には、限界を超えると、必ずと言っていいほど、体に明らかな不調があらわれます。
よって、「これ以上、ストレスを溜めてはいけない」、「溜まっているストレスを減らさなければならない」等の危機意識も働きやすいのです。
制御性(=ダメージを自分の意思でコントロールできる)
パブリックストレスは、ストレスによるダメージを自分の意思でコントロール可能なストレスです。
即ち、ビジネスや家庭、地域等の集団において、所属する人が期待するものは、「他人の心や気持ち」ではなく、「割に合う見返り」です。
このような見返りは、他の集団においても手に入れることが可能なものです。
よって、適切な時に(ex.うつ等の重症になってしまう前に)、自ら、割り切り、他の集団に対する期待への転化、現在所属する集団からの離脱等の現在所属する集団に対する期待度を低減させる選択ないし決断をすることによって、現実とのギャップを小さくし、パブリックストレスの溜まる量を減らすことができます。
また、このような選択ないし決断が適切な時になされ、「割に合う見返り」の期待先が完全に他の集団に転化された場合には、それまでに抱えていたパブリックストレスをゼロリセットすることが可能です。この意味で、パブリックストレスは「その後にダメージが残りにくい」ものと言えます。
パブリックストレスの解消方法
パブリックストレスの解消方法、即ち、「プライベートの時間を、どのように過ごしたら、ストレスが解消するのか?」については、人それぞれに千差万別ですね。
パブリックストレスの質や量が軽い段階では、飲酒、読書、TV、旅行、スポーツ、風俗遊び、ギャンブルのような自分1人だけでできること(以下「単独での発散行為」という)によって、解消可能な場合もあるでしょう。
しかし、パブリックストレスの質や量が重くなってきた段階では、単独での発散行為のみによっては、完全に解消しきれず、完全解消のためには、相手の存在、即ち、「義務的でなく接してくれる人間関係」や「心の通った人間関係」が不可欠となるものです。
このため、人は、溜まったパブリックストレスを解消するために、義務的な人間関係から逃れ、プライベートにおいて、義務的ではない人間関係を求め、このような関係にある相手と過ごす時間を持とうとするのです。
次回の記事では、もう1種類の精神的ストレスである「プライベートストレス」の特徴について、説明していきます。
→次の記事:「ストレス-4.プライベートストレスの特徴と種類」
←前の記事:「ストレス-2.ストレスの意味と、精神的ストレスの種類(パブリック、プライベート)」
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タグ:ストレス