8.ダブル不倫にて自身の現実に見合わないほどの高い理想(=妄想)を描いてしまう人間心理-平和ボケ夢想

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前回の記事では、

既述した図1 におけるダブル不倫類型のうち、最も存在割合の多い夢想モード(現実逃避セフレ型、リア充実現セフレ型)の人は、自身のW不倫としての交際関係について、「セフレ、都合の良い関係」と評価されることを受け入れられず、その反動で、「恋人、恋愛」と思い込みやすい傾向があることについて説明した。

そして、この原因が以下の2つにあることについて問題提起をした。

(1)ダブル不倫での実現内容について「現実に見合わないほどの高い理想」を自ら設定し、

(2)自ら設定した理想が、ダブル不倫で実際に経験した交際の実態とはかけ離れている(=実態のレベルが低過ぎて理想の足元にも及ばない)」ということをストレスに感じているから

今回の記事では、この2つの原因のうちの(1)の原因、即ち、夢想モードの人がダブル不倫において自身の現実に見合わないほどの高い理想(=妄想)を描いてしまう人間心理について、解説していく。

 

何事も普通は「自身の現実に沿った理想」を描くもの。なのに、どうして…

人には性格が現実的な人もいれば、空想的な人もいる。しかし、いずれの人であっても、「何かを実現したい、手に入れたい」と思った時には、「自身の現実に沿った理想」を描くものである。

例えば、志望校であるX校に合格したいが、現時点において学力が足りない場合には、普通は、以下の【a】又は【b】のような合理的なアクションを採り、【c】のような非合理的なアクションは採らないであろう。「自身の現実に見合わない理想」を固持して妄想している限り、理想を手に入れることは不可能だからである。

【a】猛勉強して学力を上げる(→自身の理想に向けて、自身の現実を変えていく)

【b】現在の学力で行けそうなY校に志望校を変える(→自身の現実は変えずに、自身の理想を自身の現実レベルに落とす)

【c】猛勉強はしたくない。でも、志望校は変えない。(→自身の理想は変えず、自身の現実も変えない)

 

こうした【a】~【c】の区分は、既述した図1 におけるダブル不倫類型のモード分けにも当て嵌まる。

即ち、戦闘モード(内縁型、恋人型、心の友型)は、「家庭を見切り、不倫相手との現在又は未来に賭ける」として、理想(ex.W不倫での実現内容→恋人)に向けて現実(ex.家庭の平穏)を変えていく(ex.離婚)点で、上記【a】に相当するものであり、

現実モード(スポーツセフレ型、コンビニエンスヤリ友型)は、「W不倫は、あくまで家庭ありきのオプションである」として、現実(ex.家庭の平穏)は変えずに理想(ex.W不倫での実現内容)を現実レベル(ex.家庭崩壊しないような体目的の浮気、セフレ)に落とす点で、上記【b】に相当するものであり、

夢想モード(現実逃避セフレ型、リア充実現セフレ型)は、「家庭は捨てないけど、不倫相手と恋愛していたい」として、現実(ex.家庭の平穏)も理想(ex.W不倫での実現内容→恋人のように)も変えない点で、上記【c】に相当するものである。それ故に、ダブル不倫について、以下に例示したような「自身の現実に見合わない理想」を設定して妄想にふけってしまうのである。

 

自身の現実に見合わない理想

【現実】離婚はできない。
【理想】恋人のようになりたい。

【現実】ダブル不倫は、家庭からの逃げ場に過ぎない。
【理想】逃げ場ではなく、メインステージと思いたい。

【現実】密な心の関わりは、お互いの家庭に悪影響を及ぼすので、避けるべき。
【理想】体目的の付き合いは嫌。心で通じ合いたい。

【現実】ダブル不倫が、およそ恋愛ではないことはわかっているけれども、
【理想】自分史上で最高に好きになった相手となら、恋愛と思いたい

 

結婚によって安定的な生活が保証されたことによる平和ボケ夢想

なぜ、夢想モードの人は、日常の出来事においては、「自身の現実に沿った理想」を設定して日々着実に理想に近づいていこうとするにも拘わらず、ダブル不倫に限っては、上述のような「自身の現実に見合わない理想」を設定して妄想にふけってしまうのか?

これは「結婚によって安定的な生活が保証されたことによる平和ボケ」という精神状態に起因する。

即ち、平和ボケによって、以下に例示したような「そもそも両立し得ないこと」について、両立できるかのような夢想をしてしまっているのである。

 

そもそも両立し得ないこと

●「家庭の平穏維持」と「W不倫相手との恋愛」

●「配偶者からのお金や住まい、家事労働等の便益の享受」と「W不倫相手との恋愛」

 

なぜ、これらの両立が不可能なことなのか?

そもそも、“恋愛”の場合には「お互いに離れている時間も静かに思い合う心」の存在が不可欠となる。

このような心の存在が、家庭の平穏や維持の妨げとなり、配偶者からの便益を受ける資格を失わせることは、家庭や配偶者の立場に立ってみれば、容易に想像できるであろう。もちろん、配偶者を含む家族全員の承諾がある場合は別として。

このような夢想、即ち、ダブル不倫関係において「自らは家庭崩壊リスクを負わず、かつ、家庭から得られるリターンに依存しつつ、相手に対しては恋人同様の心のリターンを求める」という願望を強く抱いている心理状態のことを、以下、「平和ボケ夢想」と言う。

 

なお、上例において、W不倫相手との“恋愛”“肉体関係”に置き換えれば、(もちろん、配偶者との関係修復は必要になるものの、)両立が可能なものに変わる。配偶者側から見た時に「心はW不倫相手に預けていない」という心の清廉さが残っているからである。これは、現実モード(スポーツセフレ型、コンビニエンスヤリ友型)でダブル不倫をしている人の考え方を表している。

 

平和ボケ夢想のイメージ

既述の通り、こうした平和ボケ夢想は、図1におけるダブル不倫類型のうち、最も存在割合の多い夢想モード(現実逃避セフレ型、リア充実現セフレ型)の人の多くが陥っているものである。

よって、ダブル不倫市場に臨む既婚者は、「皆が夢想モードなら、夢想モードは正論。よって、自身の現実に見合わない理想を固持することも、平和ボケも、間違っていない」のように感化されてしまいやすい

しかし・・・

確かに、「家庭を維持しつつ、外で恋人気分を味わうこと」は、贅沢な貴族の遊びであり、これに憧れを抱いてしまうことは、人間心理としてやむを得ないことかもしれない。

ただ、このような平和ボケ夢想は、そのまま維持され続けることによって、無意識のうちに、ダブル不倫について、良心の呵責を消滅させ、正当性を定着させてしまう点で、リスキーな精神活動であるとも言える。

そこで、平和ボケ夢想というものが何なのかを明確に認識できるように、改めて、そのイメージを視覚的に共有しておきたい。

以下の図2(A)では、ダブル不倫の各類型を、図1における心の独占度(=精神的な恋愛感情)の大きさと家庭崩壊の覚悟の有無という2つの基準によって整理したときの序列イメージを表している。

大人の恋愛や恋活におけるダブル不倫(W不倫)の各類型の恋愛感情に基づく序列を表す説明図

 

図2(A)では、家庭崩壊の覚悟のない状況での心の独占度の最大値を、1対2(本人VS不倫相手と配偶者)の男女関係での理論上のMAX値である50%とし、これを超える領域を不可能領域(impossible)として表している。

図2(A)において、夢想モード(現実逃避セフレ型、リア充実現セフレ型)と現実モード(スポーツセフレ型、コンビニエンスヤリ友型)の人は、「配偶者(夫・旦那、妻・嫁)との離婚はしない」と固持することによって、「ダブル不倫しても10~40%の心の独占度しか得られない」という現実を自ら作っている

にも拘わらず、夢想モード(現実逃避セフレ型、リア充実現セフレ型)は、「W不倫相手と、独身同士の恋人のようにラブラブな関係になりたい」という願望的な妄想を抱くことによって、心の独占度の理想値を、不可能領域(impossible)に設定してしまっている

このように、「自身の現実に見合わない理想」を「不可能領域に設定する」という、普通なら自らするはずのないことを無意識のうちにさせてしまう-これが「平和ボケ夢想」という心理状態なのである。

 

「平和ボケ夢想」は、最終的に、自分自身に対して“心ある人”として再起不能な危害を及ぼす危険な状態

なお、詳しくは、以降の記事にて詳細を明らかにしていくが、・・・

平和ボケ夢想は、想定する理想(=妄想)のレベルが自身の現実に見合わないものにエスカレートする(ex.独身同士の恋人と同様の恋愛関係を実現したい)ほどに、本人にとって危険なものとなる。

なぜなら、こうした現実と理想の甚だしい乖離状態が長期間に亘って継続されると、その本人の心に、無意識のうちに、真の意味での恋愛(=お互いに心から思いやり合える恋愛)を生涯不能とするほどの致命的な歪みを形成してしまいやすくなる。

この歪みは、配偶者から人として見捨てられて去られてしまう要因となることが多いからである。

即ち、「家庭崩壊しないように配偶者に知られないようにW不倫してきたつもりだったのに、このW不倫において“心ある人間性”を喪失してしまった結果、意に反して配偶者から三下り半を突き付けられて家庭崩壊してしまい、これにより自身のプライドが再起不能なほどにズタズタになってしまう。」・・・このような「ミイラ取りがミイラになる」事例が、当校においても多数報告されている。

つまり、「生活があるから離婚はしないけど、恋愛したい」のように自分に都合の良い構想を描いてW不倫に臨む夢想モードの人は、最初から家庭崩壊を前提としてW不倫する戦闘モードの人よりも、遥かに重大な自害リスクを背負っていることに留意すべきである。

 

次回は、冒頭に既述した、夢想モードの人が、自身のW不倫としての交際関係を「セフレ、都合の良い関係」ではなく「恋人、恋愛」と思い込みやすい2つの原因のうちの(2)の原因について、解説していく。

 

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