恋愛スタンス(肉食系・草食系)|大人の恋愛用語事典

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【恋愛スタンス(肉食系・草食系)】
(れんあいすたんす(にくしょくけい・そうしょくけい))

「恋愛スタンス」とは、大人の恋愛の場面において、恋愛相手(パートナー)に対して取る姿勢をいう。

恋愛スタンスには、大別すると、アグレッシブ、ディフェンシブの2種類がある。

 

1.肉食系、草食系との相違

よく言われる「肉食系」、「草食系」という言葉は、恋愛スタンスの下位概念であり、恋愛の場面のうちの出会いの場面において、恋愛相手(パートナー)に対して取る姿勢をいう。

肉食系の人の恋愛スタンスはアグレッシブとは限らず、草食系人の恋愛スタンスはディフェンシブとは限らない。なぜなら、出会いの場面では、恋愛成立を強く望むがために無理して肉食系になることや、騙されることを絶対に避けたいがために無理して草食系になることが、往々にしてあるからである。

 

2.大人の恋愛における恋愛スタンスの認識の重要性

 

(1)恋人=アグレッシブとディフェンシブの組み合わせ

大人の恋愛においては、恋人(夫婦、セフレを含む)は、男女間の恋愛感情が低い場合を除き、アグレッシブとディフェンシブの組み合わせとなる。

この組み合わせは、磁石のN極とS極のように自然に接近し合い、凸部と凹部のように補完し合う作用を奏するため、パートナー選びに際して極めて重要なチェックポイントである。

 

(2)恋愛スタンスの自己評価

恋愛スタンスの自己評価は、たいていの人の場合、生涯において変わらない。若いときにアグレッシブなら、シニアになってもアグレッシブであり、若いときにディフェンシブなら、シニアになってもディフェンシブである。

例外的に、恋愛環境の革命的な変化(例えば、「それまでモテなかった人が、仕事で成功して著名になり、モテるようになった」、「それまでモテていた人が、劣悪な環境で生活を続けたことによる劣化により、モテないようになった」)が生じた人は、自己評価が変わることがある。但し、本質まで完全に変わることは少なく、それまでの自己評価(特に20代前半までの恋愛人生における自己評価)が生涯内心に残り続けるものと考えられる。

 

(3)恋愛スタンスは、相手との関係で相対的に決まる

「カップルを構成する男女のうちの、どちらがアグレッシブで、どちらがディフェンシブか?」については、その男女の関係で相対的に決まる。例えば、自身の恋愛スタンスを「ディフェンシブ」であると評価していた男性が、よりディフェンシブな女性のことを好きになった場合には、その男性の恋愛スタンスは、その女性との関係では「アグレッシブ」に転じることになる。

実際には、誰もが「自分に無理がかからないように、自己評価している恋愛スタンスで恋愛をしたい」と思うことから、自身の恋愛スタンスを「ディフェンシブ」であると評価している人は、恋愛スタンスが「アグレッシブ」の人をパートナーとして選ぼうとし、自身の恋愛スタンスを「アグレッシブ」であると評価している人は、恋愛スタンスが「ディフェンシブ」の人をパートナーとして選ぼうとする傾向がある。

但し、ヤリ目や援助目的の場合のように、「目的達成のためなら自分に無理がかかっても構わない」と考える場合には、相手に適した恋愛スタンスに意図的に変える人もいる(例えば、自分がアグレッシブ、相手がアグレッシブの場合に、相手からの心の接近を促進するために、自分の恋愛スタンスをディフェンシブに変える等)。

 

3.恋愛スタンスの内容

以下、アグレッシブ・スタンス、ディフェンシブ・スタンスそれぞれの内容について、図を参照しつつ説明する。

 

(1)アグレッシブ・スタンス

アグレッシブ・スタンスは、恋愛の意義を、「相手から愛されたい」ということよりも「自分が愛したい」ということに見出す。このようなスタンスの人のことを、端的に、「追う男」、「追う女」と表現する場合もある。

 

大人の恋愛の場面において、恋愛相手(パートナー)に対して取る姿勢である恋愛スタンスのうち、アグレッシブ・スタンス(肉食系)を示す説明図

 

恋愛関係成立前の段階における挙動

パートナー選びに際しては、「相手から愛されている」という事実は重要ではなく、何よりも「自分がめいっぱい愛したいと思える」という意思(=自分自身の恋愛感情)を重要視する。

また、「パートナーとして選んだ相手から全く愛されない、嫌われる」ということは、本人の心の中で予定されている。よって、パートナーとして選んだ相手から愛されなかったり、嫌われたりした場合には、残念で悲しい気持ちにはなるけれども、「仕方ない」としてその相手に対して抱いていた自身の恋愛感情を消去しようとする意思が強く働く。よって、30歳以上の大人である場合には、恋愛感情が長期間に亘って残存してストレス(=恋の悩み)になるということは稀である。

 

恋愛関係の成立後の継続段階における挙動

自分がパートナーに対して抱いている恋愛感情と同レベルの恋愛感情を抱くことをパートナーに対して望む。

従って、図示したように、自分のパートナーに対する恋愛感情が60%であるのに対し、パートナー(異性A)の自分に対する恋愛感情が20%しかないと評価したときには、パートナーの自分に対する恋愛感情が60%にまで上がるように、パートナーを喜ばせたり助けたりする言葉や行動を惜しむことなくパートナーに提供する等、最大限の努力をする。

このように努力してもパートナーの自分に対する恋愛感情が60%にまで上がらないことは、アグレッシブ・スタンスの場合には、「自分の思い通りの恋愛ができない」という気持ちになり、図示するようにストレスA(=恋の悩み)になる。

 

また、図示したように、自分のパートナーに対する恋愛感情が60%であるのに対し、パートナー(異性B)の自分に対する恋愛感情が80%もあると評価したときには、パートナーの自分に対する恋愛感情を60%に抑えるように、パートナーを説得し、時には、パートナーに嫌われるような言葉や行動を提供する。

このように努力してもパートナーの自分に対する恋愛感情が60%にまで下がらないことは、アグレッシブ・スタンスの場合には、図示するようにストレスB(=恋の悩み)になる。パートナーから自分以上に愛されると、「自分がパートナーを愛さなくても、パートナーから愛される」と思ってしまうため、「愛したい」という気持ちを実現する場がなくなり(=狩猟本能を発揮できない)、これにより、自身のパートナーに対する恋愛感情が下がってしまうからである。

 

アグレッシブ・スタンスの人の場合、こうしたストレスAやストレスBが続き、解消の見込みがないと決断した時には、「自分のパートナー選択にミスがあった」と評価し、これにより、自身のパートナーに対する恋愛感情が一気に0%にまで下がってしまう。

よって、アグレッシブ・スタンスの人からの別れ話は、ディフェンシブ・スタンスのパートナーにとって「突然の別れ」に思える。

しかし、アグレッシブ・スタンスの人にとっては、「これまでに、パートナーに対して、言葉や行動によるサインを継続的にたくさん出していたのだから、何ら突然ではない」と思うのである。

 

アグレッシブ・スタンスのまとめ

以上説明したように、アグレッシブ・スタンスは、パートナーが自分に対して抱いている恋愛感情を自分の思い通りに動かそうと、言葉や行動で積極的にパートナーに働きかけるため、良くも悪くも、パートナーを振り回す。

こうした働きかけを、パートナーが「自分のためにしてくれている」と評価した場合には、パートナーにとってアグレッシブ・スタンスの恋人は、自分を引っ張っていってくれるという頼もしい存在になる。

他方、こうした働きかけを、パートナーが「自分のためにしてくれているものではない」と評価した場合には、パートナーにとってアグレッシブ・スタンスの恋人は、自分の価値観を押し付けるだけの自己中な存在になる。

また、アグレッシブ・スタンスの人は、パートナーの些細な行動によって、パートナーに対する恋愛感情が起伏しやすい。パートナーに対して「もっと愛したい」と思った時には一気に恋愛感情が高まり、パートナーに対して「愛したい」と思えなくなると一気に恋愛感情が冷める。

そして、こうした変化後の恋愛感情のレベルと、パートナーの自分に抱いている恋愛感情のレベルとが一致するようになることを望み、時には、その願望を叶えようとパートナーに働きかける。アグレッシブ・スタンスの人を嫌いになったディフェンシブ・スタンスのパートナーが、アグレッシブ・スタンスの人の悪口として、口を揃えて「振り回される。自己中。」と言うのは、このためである。

 

(2)ディフェンシブ・スタンス

ディフェンシブ・スタンスは、恋愛の意義を、「自分が愛したい」ということよりも「相手から愛されたい」ということに見出す。このようなスタンスの人のことを、端的に、「追われる男」、「追われる女」と表現する場合もある。

 

大人の恋愛の場面において、恋愛相手(パートナー)に対して取る姿勢である恋愛スタンスのうち、ディフェンシブ・スタンス(草食系)を示す説明図

 

恋愛関係成立前の段階における挙動

パートナー選びに際しては、「相手のことを好きで好きでしょうがない」という意思(=自分自身の恋愛感情)は重要ではなく、それよりも「自分の望む愛を与えてくれる相手である」という要素的な事実を重要視する。

よって、図示したように、自分のパートナーに対する恋愛感情が60%であるのに対し、パートナー(異性D)の自分に対する恋愛感情が80%であると評価したときには、望み通りに愛される可能性が高いので、パートナーとして選択して恋人関係を成立させる。

一方、自分のパートナーに対する恋愛感情が60%であるのに対し、パートナー(異性C)の自分に対する恋愛感情が20%しかないと評価したときには、思い通りに愛される期待可能性がないので、異性Cを追いかけることなく、あきらめて放置する。

パートナーの自分に対する恋愛感情の評価は、パートナーに対する慣れ、パートナーからの押し、パートナーのマメさによって上昇する。よって、初対面で恋愛感情を全く抱かなかった相手に対しても、慣れや押しによって恋愛感情を抱くようになることが多い。この点は、アグレッシブ・スタンスとの大きな相違である。

 

恋愛関係の成立後の継続段階における挙動

基本的に、自分以上の恋愛感情を抱いているパートナーとしか恋愛関係を成立させないため、恋愛関係成立後において、パートナーの恋愛感情を更に高めようという積極的な意識は原則として働かない。

しかし、図示したように、交際当初のパートナー(異性D)の自分に対する恋愛感情のレベル(図では80%)が、交際後に、自分の異性Dに対する恋愛感情よりも低くなった(図では20%)と評価したときには、異性Dの恋愛感情が低くなったこと、異性Dの恋愛感情のレベルを元に戻すことの双方について、強烈なストレスD(=恋の悩み)が生じる。このストレスDが強烈な理由は2つある。

1つは、ディフェンシブ・スタンスの場合、思い通りに愛される期待可能性がある人のみをパートナーに選ぶため、「その後に、パートナーから愛されなくなる、嫌われる」ということは、本人の心の中で、全く予定されていない想定外の出来事として捉えられるからである。

もう1つは、ディフェンシブ・スタンスの場合、パートナーとの間に様々な事柄が起きても、そのことによる恋愛感情の起伏は小さく、恋愛感情が比較的安定している。このため、アグレッシブ・スタンスの人のように、「パートナーから愛されなくなったら、その分だけ、自分のパートナーに対する恋愛感情も減らす」という自己防御のための器用な調整ができない。よって、二人の恋愛感情のマイナスの差分の存在を直視してしまい、この差分が生じた理由や回復方法について、「なぜ?どうしたらいい?」のように真正面から悩み、答えを出そうと苦しむのである。

 

ディフェンシブ・スタンスの人の場合、こうしたストレスDの解消(=異性Dの恋愛感情が低くなった原因を除去し、異性Dの恋愛感情のレベルを元に戻す)のために、パートナーからの要求に無理をしてでも従おうとする。その理由としては、次の3つを考えることができる。

●ストレスDが強烈であるがゆえに、早期にストレスDから解放されたいという意思が働く。

●「愛される、嫌われない」ということが重要であり、そのために必要な自己変化(=パートナーに合わせた変化)については、比較的素直に柔軟に対応することができる。

●恋愛成立段階においてパートナーとして「望み通りに愛してくれる人」を厳選していることから、「このようなパートナーは、なかなかいない」という思い込みが強く、内心におけるパートナーへの依存度が高い。よって、「自分のことが原因でパートナーを失うという結果を何としても避けたい」という思いが働く。

このため、ディフェンシブ・スタンスの人は、パートナーの恋愛感情の起伏に振り回されがちである。

 

こうしたストレスDが続き、解消の見込みがないと決断した時には、「自分のパートナー選択にミスは無かったが、パートナーからの過度な要求に耐えられなくなった(つまり、恋愛がうまく継続しなかったのは、過度な要求をしてきたパートナーの責任である)」と評価し、パートナーとの恋人関係を解消する。

しかしながら、恋人関係の解消後においても、自身のパートナーに対する恋愛感情は、直ちに0%になってしまうようなことはなく、期間の経過(=記憶の忘却)に伴って徐々に下がっていく。

従って、ディフェンシブ・スタンスの人の場合、別れた後すぐに「次のパートナーを見つけよう」という気持ちに切り替えることができない。

また、ディフェンシブ・スタンスの人の場合、別れた後の早くにパートナーから復縁の申し出があった際には、復縁することが十分にあり得る。この復縁の可能性は、交際期間中のお互いの内心関わり度が浅い場合ほど高くなる。

 

ディフェンシブ・スタンスのまとめ

以上説明したように、ディフェンシブ・スタンスは、パートナーから思い通りに愛されたい(嫌われたくない)がために、パートナーの恋愛感情のレベルの低下に、振り回されて、不本意にであっても、パートナーの望み通りに行動しようとする。

こうした行動を、パートナーが「自分のことを理解した上で自発的にしてくれている」と評価した場合には、パートナーにとってディフェンシブ・スタンスの恋人は、自分の望みを叶えてくれるという従順かつ癒しの存在になる。

他方、こうした行動を、パートナーが「言われたからしているだけで、本心ではしたいとは思っていない」と評価した場合には、パートナーにとってディフェンシブ・スタンスの恋人は、思いやりが無く責任転嫁するだけの冷たい存在になる。

 

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